栗鼠さんの冒険物語

【文章:刈穂さん/挿絵:Kaiさん】





       ※注意※
          チャットネタです。ほぼスレイヤーズではありません。
          身内ネタ嫌いな方はお戻り下さい(^ω^)









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とある森に、1匹のリスさんが住んでいました。
そのリスさんは、最近まで、好物を求めて旅を続けていたのですが、最近、
自分で栽培も始めたので、森の奥におうちを建て、暮らし始めたのでした。

そのリスさん、最近、お友達のクマさんから聞いた、世にもおいしいと言う
ちょこぱふぇが、食べたくてたまりません。

でも、そのちょこぱふぇは、幻のパフェで、そう簡単には食べられないのです。
なんでも、32日だけの限定販売で、しかも街まで行かないと食べられないという噂だと、
クマさんは教えてくれました。

それを聞いたリスさん、さっそく、その月の31日、森から街へ行く夜行バスに乗りました。
これで、朝目覚めたころには、ちょこぱふぇの売っている、32日の街に着くはずです。

ところが、街に着いてみると、どこのお店のカレンダーにも、1日と書いてあります。
おかしいなぁ、と思いつつも、また来月来てみようと、リスさんはしょんぼりして森に帰りました。
ところが、来月も、その次の月も、何度行っても、街に着くと1日なのです。

怒ったリスさん、バス会社に電話をして、どうして着くのに2日もかかるのだ!と苦情を言いました。
すると、バス会社の電話係は、32日など世の中にはないと言うではありませんか。
31日の次は、永遠に1日なのだ、と。

それなら、クマさんの言っていた噂は、デタラメだったのか、クマさんが自分をだますはずがないし、
きっとクマさんも、間違った日付を教えられてしまったのだろうと思い、リスさんは、森のもっと
奥深くに住む、情報通の謎の神官のところに出かけて行きました。
森の奥深くは、暗くて怖いところですが、それほどちょこぱふぇが食べてみたかったのです。

こんこん。

「ゼーロスさん、いませんかぁ?」
「はいはい、おやリスさん、お珍しい。こんな森の奥深くまで、何のご用です?」

リスさんは、ちょこぱふぇのことを神官に話しました。
正しい販売日を知らないか、と。

「そうですね、それは、32日でいいんですよ」
「でも、32日はないって。31日の次は、1日なんですよ」
「確かに、普通はそうです。32日は、狭間の世界にあるんですよ」

神官が言うには、31日と1日の間には狭間の世界があって、そこには、とある魔法の鏡を向かい合わせた間に、
31日から1日に変わる瞬間、立っていれば行けるらしいのです。

対になっている魔法の鏡は、今はバラバラで、その片方だけは、ここからもう少し、森の一番奥にぽつんと
立っているのだ、と。

その世界に行ってみたいと言うと、神官は、対の鏡があると言われる洞窟や、それが入っている箱の鍵が
あるらしい場所などが浮き出る、魔法の地図をくれました。

リスさんがお礼を言って旅立とうとすると、お弁当代わりに、胡桃や林檎、木の水筒などが入った
袋まで渡してくれました。
謎の神官のくせに、あやしいまでの親切さです。

「いえいえ、僕はごく普通の、謎の神官ですよ。なにをあやしいことがありましょう。
いってらっしゃーい、よい旅を〜♪」

リスさんは、最後の台詞でよりあやしいと思わないでもなかったですが、とりあえず旅立ちました。



旅は、困難を極めましたが、途中で出会った森の動物たちが、たくさん助けてくれました。

山を登って行ったら崖で、向こう側に行きたいのに、谷底は急流の川。
橋もなく困っていると、魔法のペンを持ったイタチさんがやってきて、橋を描いてくれたので、無事向こう側に渡れました。

鍵のありかは、何度地図をながめても湖の底で、どうしようかと岸で途方に暮れていると、そこに住んでいる、
黒や赤やピンクに色が変わる、不思議なでめきんさんがぷかりと水面に。
事情を聞いて、まかせとけとヒレを振り、ぷくんと潜って、取ってきてくれました。

疲れて木の下で休んでいたときなどは、なんと、コードのついた不思議な羊さんが通りがかり、ぐったりと疲れた
リスさんを見て、ぴゅっとどこかへ行ってしまいました。
しばらくして、お友達だという黄色い電気ネズミさんを連れて戻ってきて、コードの先をネズミさんにぱくり、
なんと羊さんはぶるぶるふるえて、マッサージ付きお昼寝クッションになってくれたのです。



そうやって、みんなの協力を得て、ついにリスさんは洞窟の奥に箱を発見し、鍵を開けて、鏡を見つけ出すことができたのです。

さっそく森の奥まで帰り、31日の夜になるのを待って、がっしとお財布をつかむと、鏡を持って森の一番奥に向かいました。

ちょこぱふぇを食べるために、お腹はぺこぺこの準備万端、リスさんは、鏡を向かい合わせて立て、その間に立ちます。
そしてついに、31日から1日に変わる瞬間がやってきました。

鏡と鏡の間に、ぱあーっと、月の色の光が通ります。

あっ!と思った瞬間、もうリスさんは、知らない森の中・・・狭間の世界にいたのでした。



そこは、リスさんの住んでいた森に似ているようで、でもところどころに変てこな木や花、動物がいます。
ちょっとびくびくしながら、リスさんは、動物に話しかけてみました。

「あのう、ここは、狭間の世界ですか?」
「そうだね、32日の世界だよ」

そう、なんとなーく、鹿っぽい動物さんは、答えてくれました。

自分は、ちょこぱふぇが食べたくて、外の世界から来たのだと言うと、鹿っぽいさんは、びっくりしたようでした。

「なんだって!じゃあ、すぐに街に行かないと。あれは大人気で、1日5人、10口ずつの限定販売なんだよ」
「・・・どうして、10口ずつなんでしょう?」
「どうしてって、ちょこぱふぇは、世界にたった1つ。食べちゃったらおしまいさ。
でも、1日50口分までなら、1日待てば、また元に戻るんだよ」

どうやら、ちょこぱふぇは、この狭間の世界ですら、とても貴重な物のようでした。
ますます期待が高まるリスさん、はっと気が付きます。

「では、今から行っても、その5人に間に合わなければ、また1か月待たなくちゃいけないんですか?!」
「いんや、明日まで待てばいいよ。てゆーか、ずっと並んでて、順番が来たら食べればいい」
「え、でも、ちょこぱふぇは32日の限定品なんでしょう?」

そう言うと鹿っぽいさんは、笑って答えます。

「だって、ここは、永遠に32日の世界なんだもの」



街はあっちだよと、鹿っぽいさんは、森の出口まで親切に案内してくれました。
お礼を言って、胡桃を1つあげると、外の世界の木の実は珍しかったらしく、とても喜んでくれました。

教えてもらったお店に向かうと、もうすごい行列です。
どう見ても、30人ぐらいは並んでいそうです。

リスさんは、待っている間のために、先に街で、絵本や飲み物、毛布を買いました。
それから、ふと思いついて、他にもいろいろ買っておきました。

実はここで、この世界のお金が外の世界と違うことが判明して困ってしまったのですが、外の世界の
金貨は珍しいと、買い取ってくれた人がいたので、それでお買い物もでき、ちょこぱふぇ代も手に入り、
リスさんは安心して列に並びました。

そして、毛布にくるまり、本を読んだりしながら待つこと6日ほど・・・。
ついに、ついに、リスさんの番がやってきたのです!

お店に入り、席に着きます。
ちょこぱふぇをください、と注文すると、大きな魔法の銀のスプーンを渡され、ちょこぱふぇの部屋に
ご案内いたします、と言われました。
どうやら、ちょこぱふぇは、置いてある所にこちらから食べに行くようです。

廊下を行くと、つきあたりに、真っ白な木のドアがあります。
上の方に「ちょこぱふぇのお部屋」という札が取りつけてありました。

給仕さんがドアをノックし、失礼します、と言ったあたりで、リスさんはちょっと首をかしげましたが、
ドアをあけて、中へどうぞ、と言われたので、慌てて部屋に入りました。

リスさんは、その日の1番だったので、完全形のちょこぱふぇを見ることができました。

コーンフレークは、入っていた方が食感が好きな人もいるかもしれませんが、このちょこぱふぇには入っていません。
それよりも、バニラとチョコのアイスたっぷり、チョコのスポンジケーキや、トリュフチョコ、そしてこんもりと盛られた
クリームの上には、とろっとろのチョコレートソースと、カットバナナ・・・もう、見ているだけでよだれが出てきそうなのですが、
他に特筆すべき点が1つ。

ちょこぱふぇは・・・ふっかふかの、クッションの上に乗っていました。

リスさんは戸惑います。
あんなふかふかに乗せたら、ぐらりと傾いてこぼれてしまわないですか?と給仕さんに尋ねると、
給仕さんは不思議そうに、ふかふかのクッションでないと、あなただって疲れてしまうでしょう?
と言うのです。

それより、どうぞちょこぱふぇのところへ、と言われ、リスさんはついに、ちょこぱふぇの前に立ちました。

自分より大きいぐらいのちょこぱふぇに、リスさんはよいしょと大きなスプーンをのばします。
すると。

「・・・こんにちは」

なんと、ちょこぱふぇがしゃべるではありませんか!

リスさんはビックリ仰天しましたが、相手が挨拶をしてくれた以上、礼儀として、こちらも挨拶をすべきです。
どこが耳なのかよく分かりませんでしたが、とりあえず、こんにちは、と返してみました。

「変わった動物さんですね・・・。それに、すごく驚いてるみたい」
「あ、あの、外の世界から来たんです。それで、失礼ですが、お話されるとは思ってもみなかったので・・・」
「そうなんですか!それは遠くからありがとう。外の世界では、ぱふぇはしゃべらないんですか?」
「は、はい・・・そうなんですよ」
「へぇ・・・驚いたわ。ぱふぇだって、大根だって、貝だって、お茶だって、普通しゃべるものね」

そうか、普通なのか、待ってる間に飲んでいたジュースはしゃべらなかったけど、例外でよかったなぁ、
とリスさんは思いました。
だってそんなの、飲みにくそうですものね。

そして、リスさんは、勇気を出して尋ねます。

「あの、それでですね・・・」
「はい?」

ごくり、緊張の一瞬です。

「ちょこぱふぇさんを、食べてもいいんでしょうか?」

返ってきたのは、あっさりしたものでした。

「もちろん。だって私は、ぱふぇなんだもの」

大きなスプーンで5口。
1口食べれば、バナナにクリームとチョコレートソースが絶妙に絡まります。
もう1口食べると、さらにチョコアイスがハーモニーを奏でるのです。
ぱくぱくと、スポンジ、トリュフ・・・それは、夢のようなおいしさで、食べ終わったとき、
リスさんはほぅとため息をつき、思わず言いました。

「ちょこぱふぇさん、ごちそうさまでした・・・」
「おそまつさまでしたv」



そうして、リスさんは、ちょこぱふぇを食べることができたのでした。

この後のお話も、少しいたしましょう。

実は、あの合わせ鏡、出る時も、31日から1日に変わる瞬間しか出られなかったのです。
31日はたいてい、2カ月に1度しかないため、リスさんは普通でいけば2カ月近く待たなければ
ならなかったし、31日と1日の間しか出れないことも知りません。
その上、合わせの向きがほんの少しでもズレたり、どちらかでも少し傷付くだけで通れなくなる、
かなり危険なものでした。

そんなことはついぞ知らないリスさん、ぱふぇを食べ終わって、外の世界に帰ろうと、
鹿っぽいさんに会った森まで戻ってきました。

鏡のところまで来て、鏡の面に触っても、びくともしません。
鏡の向こう側に、元の世界の森が透けて見えているのに、です。

ひょっとして帰れないのかと、鏡の前に座ってしょんぼりしていたリスさんの目の前、
鏡の向こうの元の世界側に、うさ耳の女の子が現れました。
後ろには、これまたうさ耳の、大きな剣士さんが見えます。
女の子は魔法使いで、たまたま魔法の鏡の噂を聞きつけて、研究してみたくて探していたんだそうな。

この鏡は、32日の世界に通じているもので、今は通れなくて困っているのだ、と言うと、女の子は、
少し考えたあと、後ろに下がりなさい、と言いました。

リスさんが下がると、女の子は、手から真っ黒な何かを出し、それを剣のように使って、
鏡に切りつけました。
リスさんはびっくりして、鏡が割れると思い、ぎゅっと目をつぶりました。

ところが、割れたような音はいっこうに聞こえてこないので、そろっと目をあけると。

そこには、鏡がそのままあって、その片方の真ん中あたりが薄くなっていて、向こうの森がはっきり見えています。

「ほら!空間だけ切ってあげたから、開いてるうちにこっち来なさい!」

女の子がそう叫んだので、リスさんは大急ぎで穴を通り抜けました。

・・・あの謎の神官は、実は生き物の負の感情を栄養源にしている魔物で、鏡から出れなくて困っている
リスさんを見て、指差して笑いつつ、お食事をしようとたくらんでいたのです。
鏡の噂を流したのも自分、もともと、鏡自体も、彼のものでした。
今回だけでなく、昔からときどき、鏡の片方を遠くに隠し、噂を聞きつけたものに地図を渡して、それを
探す苦労なんかも、ちょっと栄養にしてたようです。
まぁ、指差して笑った後は、一応助けてあげてたみたいですけどね。

しかし今回は、リスさんはみんなに助けられて割とあっさり鏡を見つけ、偶然とはいえ、女の子のおかげで
こっちに帰ってこれてしまいました。
すっかりお食事のあてが外れた神官、木の陰で悔しさのあまり、うさ耳は敵ー!と叫び、うああぁん、獣王さまぁ〜!
と、どこか遠くの山に引っ越してしまいました。

そして鏡はというと、これを放置しておくと、またうっかり入って帰れなくなってしまう動物が出てしまうかも、
という女の子の意見により、片方はこのままここに残し、片方は女の子が持っていくことになりました。
ちょこぱふぇを二度と食べられないのは残念だけれど、出れなくなっては困るし(女の子もリスさんも、鏡の正確な
使い方を知らないものですからね)助けてもらったリスさんに、異存はありません。
女の子は・・・リナと言うそうですが・・・後ろにいたガウリイという青年に、鏡を渡しました。

お礼にと、狭間の世界で買った、不思議なピンクのニンジンをあげたところ、違う世界のものが手に入ったと言って
女の子はたいそう喜んでくれました。
そして、リスさんは自分の家に、女の子はまた旅に出るので、2人は握手をして、お別れをしました。

おうちに帰ったリスさん、大変だったけれど、ちょこぱふぇは本当に夢のような味で、出会えてよかったなぁ、と
思い、疲れた体を休めるために、お布団にもぐりこみ、すぐに眠ってしまいました。

そして次の日、助けてくれた動物たちに、狭間の世界で買ってきたものを、配りに行ったのでした。


おしまい




















―――あの「栗鼠さんの冒険物語」から1週間―――



「・・・というわけでね、ちょこぱふぇは、すばらしかったよ」
「いいなぁ、わたしも食べたい」

『一緒に、旅に出よう』



―――好評につき、続編制作決定!―――



「あ〜、あの鏡?・・・が、ガウリイが割っちゃった。てへっ」
「なにがてへっだ!だいたいあれはオレが割ったんじゃなくて、道間違てキレたお前さんが、  荷物に入れてたオレごとふっとばしたからだろうが!」
「うみゅ・・・そういう事実もあったかもしんない。で、でもさー、そもそも、そのクマさんは、鏡とおれないじゃん?」

そう、鏡は、小動物サイズ・・・クマさんは通れません。

他の入口、探さないと!




―――「クマさんの冒険物語」
   副題:ある日、ガウリナの森の中で、クマさんは出会ってしまった 〜グリズリー・ラヴ〜 ―――





「ここは、32日の狭間の世界ですか?ちょこぱふぇはどこに?」
「確かに32日だけど、ちょこぱふぇの街は海の向こうだよ」
「ええっ?!」

そして始まる、大冒険。

白いハトさんに導かれ、クマとリスは海を渡る。

海を渡してくれる貝さんとの出会い、そして・・・・・・。



――クマさんは、運命のポン酢に出会う――



お茶を飲みつつ、大根の千切りにポン酢、あぶった貝にポン酢、2匹はめくるめく美食の世界に酔う。

クマ「そんなっ!こんなに何にかけてもおいしいなんて・・・!」

ちょこ「うふふ、わたしとポン酢、どちらかしか選べないのよ」

リス「クマさん!ポン酢を選んだら、もう森には帰れないよ!」

運命のポン酢、おいしくて愛しくて、なんにでもかけて食べてしまいたい・・・!
でも、食べてしまったら、愛するポン酢とはお別れのとき・・・・。

愛と欲望が交錯する、クマとポン酢の、ピュア・ラブ・ストーリー!


ポン酢「・・・あたしを食べて、いいよ?」


そのとき、クマさんの決断は?!



―――2100年5月 公開予定!!―――



Fin







日記にてちょこさん食べられないって話をしたんです。
頂き物のポストカードのリスの背中がなんだか切なくて。

そしたら刈穂さんが、ちょこさん食べに行く話を書いてくださいました!!!!
わーーーーーありがとうございますっ(´Д`*




そしてKaiさん!!イラスト使わせていただいてありがとうございますwww
ゼロスに騙されるリス(´∀`*)wwwww
かわいいです(笑)



Thank you for a wonderful novel & Illust


Guest



2010.06.01 UP