The ruler of the park

【パラレル】





「わーかわいい!!」


あたりまえよ。あたしは可愛いんだもん。
沢山いた兄妹たちの中で唯一お家に残ったんだから。
父ちゃんと母ちゃんと姉ちゃんと、ずっと一緒にいられるのよ。

お腹一杯。

あったかいお庭で日向ぼっこして。

今すっごくねむたいの。


「ねぇねぇ、触ろう」
「だっこしようか」


ふふふ、かわいいって罪ね♪


「かわいいね」
「かわいいね」
「ねぇ、お家で飼おうよ!!」
「そうだね。こんなにかわいいもんね」


うん…あたしはかわいいのよ。











そして、気がついたら…箱に入れられて知らない場所に置いて行かれた。



「お前捨てられたんだぜ」


冷たい箱の中で、ぐぅぐぅ鳴るお腹我慢して丸まっていたらカラスがそう言った。
ちがうよ!!あたしはお家に残ったんだもん。捨てられるわけない!!


「違わないね。お前捨ててったぜ、人間のガキたちが」


カラスがたくさん飛んでいる。
上から見下ろして…たぶん、あたしが死ぬのをまっている。
だけどそう簡単にやられるもんですか!!


「ぜったい違うわ!!」
「うわ!」


箱から飛び出して思い切りジャンプして木に駆け上る。
枝にとまったカラスにとびついた。
いいわよ、食われる前に食ってやるんだから。
姉ちゃんも言ってた。
この世は、焼肉定食なんだって!!


「あたしおなか減ったの、あんた食べられなさい!!」






ほどなくして、あたしは”公園の帝王”と呼ばれるようになった。

意味はよくわかんない。






そんなある日、ガウリイに会った。
泥だらけになって今日のごはんを探していた時だ。


「おまえさん、小さいなぁ」


余計なお世話よ。
毛を逆立てて威嚇する。
人間なんてきらい。


「そんなに怒らなくてもいいだろ?」


だいっきらいよ。
少し前に人間が何人もやってきて罠をしかけていった。
みんな捕まっちゃった。
だから大嫌い。


「………お、そうだ。コレ食うか?」
「………」


う、す、すっごくいいにおい…
足が勝手に一歩前に出た。


「うーん、唐揚げじゃだめか?といっても煮干しとか持ってないしなぁ…」


差し出していたそれを、ぱくっと自分の口に放り込む。
もぐもぐとしているそれ。
あたしはもう我慢できずに人間に飛びついた。
ずるいわ!!
いちど食べるか?って出したんだからあたしの警戒が解けるまでもう少し粘りなさいよ!!
っていうか、近づいたらすごくよくわかる。
めちゃくちゃ良い匂いじゃない!!

ぺろぺろと、人間の口を舐めた。
食べたもの返せ!!と叫びながら。


「うわ、ちょっとまてって、まだあるから。ちゃんとやるから、落ち着け!!」


落ち着いてなんていられないわ。
あたしおなかすいたの。
昨日は大雨の所為で何にも捕まえられなかったから、すっごくぺこぺこ…
あんたのせいでそれ思い出しちゃった。
責任取りなさいよ!!


「よしよし。じゃぁいこうか?」


あたしを抱いて人間が立ちあがる。
地面がすごく下になった。

…どこに連れていく気なの?


「おいおい、そんな不安そうな声だすなよ。大丈夫ウチのマンションペット可だからな」


じたばた暴れても、ひっかいても大きな手は緩まない。






「名前考えなきゃなぁ…」






あたしはりな。今日からがうりいの猫になった。



Fin




Short novel



2010.10.02 UP