ずっとずっと、雪が降っていた。
3日前、眩しいいなびかりを閃かせ、雪起こしの雷がゴロゴロドドーンッ!と鳴ったのを合図に、
毎日毎日、朝も昼も夜も小止みなく、雪は降り続いていた。
村はずれの小さな家に住む魔道士のリナと猫のアメリアとゼルガディスは、
曇った冷たいガラスをふきふき、恨めしそうに窓の外を見ていた。
「雪、止まないかなぁ。 寒いけど、たまにはお外に出たいですよ」
と、アメリアがこぼせば、
「そろそろ雪下ろしもしなけりゃならんな。 このままだと屋根が心配だ」
と、ゼルガディス。
「おい、リナ。お前の魔法でなんとかできないのか? ゴーレムを作って働かせるとか」
「こうひっきりなしに降ってるんじゃ、ゴーレムの雪かきだって追いつかないわよ。
それに、あたし今ちょっと魔法は都合悪いの」
猫より寒がりなリナは、毛布にしっかり包まったまま、不機嫌そうにこう答える。
「そうか。 お前、ひょっとして、あの……」
「ゼルガディスさん、それ言ったらセクハラですよ!」
「まだ言っとらんだろーがっ!」
ころころとじゃれ合う猫たちを尻目に。
「……もうガマンできないっ!!」
ついにリナは立ち上がった。
そして、どすどす足を踏み鳴らし、家の外に出た。
「ちょっと、雲の上の雪降らしさん! もういいかげん休んじゃくれないかしら!?」
リナが空に向かって大声で怒鳴ると、雪は止むどころか、前より一層激しく降ってきた。
「なによ!人がこんなに頼んでるってのに!
たまにはあたしらにもお日様の顔を拝ませてくれたっていいじゃないっ!!」
怒鳴りざま雪玉をひとつ空に向かって放り投げるが、もちろん届かない。
それどころか、
「やなこった!」
「知るかよ、ンなこと!」
と、雲の上から声がする。
「なんて意地悪なヤツら! いいわ。そっちがその気なら、こっちも容赦しないからね!
たとえ本調子じゃなくたって………黄昏よりも昏きもの 血の流れよりうわっぷ!!?」
怒って呪文を唱え始めたリナの上に、いきなり、でっかい雪ダルマが作れそうなほどの雪の固まりが どさーっ!落ちてきた。
おまけに、慌てて這い出したリナの頭を、
ぱっかーーーーんっ!!!
今度はなぜかでっかい金ダライが直撃。
「「ひええええええっっ!!」」
その様子を窓から見ていたアメリアとゼルガデイスは蒼ざめた。
「ふ……、ふふ…………ふふふふふふふふふふふふふ………………」
びしょぬれのリナの頭からは白い湯気が、体からは黒い怒りのオーラが立ちのぼる。
「このリナ=インバース様を甘く見るんじゃないわよ!
……一応警告はしたからね。どうするか見てらっしゃい!!」
To be continued...
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