狂っている。
彼は大理石の床に片膝を付き、深く頭を下げたまま呟いた。
聞き咎める者は居ない。
少し視線を上げると赤いビロードと階段と玉座。
そして彼の主である王がいる。
「…頼んだぞ、ガウリイ。」
暗い色の瞳を輝かせうっとりと王は告げる。
このような命令は初めてではない。
これまで何度もあったことだ。
王に選ばれた者は不運。
そう思っても彼はただ言われるまま仕事をした。
「仰せのままに…」
もう一度深く礼をし立ち上がると金色の髪がさらりと揺れた。
青い瞳が狂気に取り付かれた王を見るがすぐに視線は外され彼は王の部屋を後にした。
続く…
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