彼女は退屈していた。
城での生活も何もかも。
唯一の楽しみと言えば、王の僕である騎士と馬に乗り森を散策するくらい。
しかしそれすらも半年前に行ったきりだ。
いい加減退屈で死んでしまいそうだった。
「退屈…退屈で死にそう。」
羽毛のクッションを抱き込んで呟く彼女。
その声に答えるように彼が声をかけた。
「先日は寒くて死にそう。と仰っていませんでしたか――姫。」
聞き慣れたその声。
彼女はふてくされたまま
「寒いのも退屈なのも嫌いなのよ。」
抱えたクッションに顔を埋める。
外は雪、森を散策するには寒すぎる。
彼女は寒いのが苦手だった。
「では、私に良い考えがあるのですが…聞いていただけますか?」
彼はそう言って彼女の前に跪いた。
顔を上げた彼女の手を取り軽く口付けると
「明日暖かくして、森に出かけませんか?」
そう言ったのだ。
続く…
|