王には奇妙な収集癖があった。
王の私室。
巨大な暖炉の奥にその隠し通路はある。
本来は城が落ち、敵に攻め込まれたとき脱出するための物。
しかしそこは今、王のコレクションルームと化していた。
螺旋階段を下りてしばらく狭い通路を行くと鉄の扉が立ちふさがる。
その扉の向こう。
いくつも置かれた容器の中に”ソレ”らはあった。
部屋の中はツンとする薬品の匂いに満ちていて、普通の感覚ならば吐き気を催す光景。
しかし王は不気味なほどの笑みをたたえ一番近くにあった容器に頬ずりをする。
「皆、喜ぶがよい。もうじき最高の宝が手に入る…」
ランプの明かりに照らされ、容器の中で虚ろな瞳が虚無を眺めていた。
続く…
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